体重計・体組成計の選び方6 タニタとオムロンなどメーカーごとの違いと比較

体重計・体組成計について、ここまでいろいろと見てきたが、その結果わかってしまったことは、家庭用体組成計で使われているBIA法という体に電流を流した抵抗値を元に体脂肪率を推定する方法は、すごぶる精度が悪いということである。

この事実を知った上でこの先を書くかどうかに関しては、私自身しばらく迷ったのだが、ただ、それでも精度に問題があっても、体重計・体組成計が欲しいという人は当然いるだろうし、そういった方に何かしら選び方の軸を提示する必要はあるだろうということで、本項目を記載することにした。

この記事は「家庭用体脂肪計・体組成計は精度が悪い」という前提を受け入れた上での、体重計・体組成計の選び方に関する観点を記載するものである。


タニタ

体重計・体組成計シェアトップの企業。体脂肪率など体組成の元データを取得する基準計測法としてはDXA法を採用している。体組成計では家庭用のみならず、業務用も手がけており、大手スポーツジムなどに配備されている200万円する最上位機種の体組成計では、6つの周波数を用いた体組成計測によりDXA法での測定とほぼ同精度のものを出すことが可能。

業務用のものは両手両足測定の機種を出しており、部位別の体組成測定が可能であるが、家庭用のものに関しては足裏測定(両足測定)の機種が中心になっている。これは一般消費者の家庭用体重計・体組成計へのニーズの中心が、部位別測定よりも手軽さにあるためと推測される。

格安機種から高級機種まで、基本的に測定できる項目や精度については差はないが、直近の家庭用最高級機種インナースキャンデュアルでは、高周波と低周波の2種類の周波数を使った計測を行うことで、細胞内の水分と細胞外の水分を見分けることができるため、測定精度が向上している。また、一部の高級機種では体重計に乗るだけでデータをスマートフォンに自動転送し、専用アプリでデータの管理が可能になる機能を持ったものも発売されている。1万円以上の高級機種を検討する方は、その2つの機能の要不要の観点で決めるとよいであろう。


オムロン

タニタに次ぐ体重計・体組成計のシェアを持つ企業。体脂肪率など体組成の元データを取得する基準計測法としては水中体重法などを用いている。機種はタニタよりだいぶ少なく、タニタがHP上に記載している機種が44機種なのに対し、オムロンはわずか13機種である。過去には高級機種は両手両足測定のものにすることで、精度の高い機種を求める消費者にオムロンを選んでもらう戦略で製品開発をしていたが、両手両足測定の測定・収納などの面倒さにより消費者から人気が出なかったため、2010年10月以降両手両足測定のモデルを出していない。


パナソニック

体重計・体組成計のシェア第3位の企業であるが、タニタ、オムロンに大きく引き離された3位。2015年現在、出している機種は両手両足測定の2機種と両足測定3機種の計5機種で、それも2012年以降新機種は出ていないので、パナソニックとして力を入れている事業とは言えないだろう。特にパナソニック独自の測定項目というものがあるわけでもなく(一応皮下脂肪の厚さが測れる機種というのも1つあるが使いにくい)、パナソニックらしいシルバーをベースとしたデザインが好みというのでなければ、特に積極的にここを選ぶ理由は見つからない。


ドリテック

体重計・体組成計のシェア第4位の企業。2000円~3000円前後の安売り系の体組成計が主なラインナップ。確認したところ、基準測定法に水中体重法やDXA法を用いているとのことなので、Withingsなどの海外メーカーよりは測定精度はましと言えるだろう。現在11機種の体組成計を出していて、すべて両足測定型。パナソニックと同様の低市場シェア企業ではあるが、パナソニックが機種数こそ少ないものの、一応全方位のラインナップを出しているのと比較すると、安価な両足測定型に絞っているところからも戦略の違いが見て取れるであろう。


Withings(ウィジングズ)

フランスのベンチャー企業で、スマートフォンなどスマートデバイスとのデータ連携に定評のある企業。体重計・体組成計では、乗るだけで自動的にデータをWi-Fiでスマートフォンに飛ばすことで、スマートフォンでの体重データ管理をすることを可能にした。

こうした新たなコンセプトの体重計・体組成計のモデルは、タニタやオムロン等、日本の大手体組成計メーカーの開発方針にも影響を与え、タニタ、オムロンの高級機種では、スマートデバイスとのデータ連携機能を持つものが発売されるようになった。

なお、体脂肪率の測定精度に関しては日本のメーカーよりも大きく劣ることが推測されるので、精度目的の人が選ぶべきメーカーではないことは留意しておくべきであろう。

体脂肪率など体組成の元データを取得する基準計測法は非公開であるが、体組成計の測定項目や企業の人員規模等から推測するに、精度が特に劣悪なBIA仮説モデル(人体を円筒に見立てた乱暴な計算法)を使った単純計算で体脂肪率を求めている可能性が高い。



以上、体組成計メーカーの主なメーカーの比較を行ったが、結論として、本当に測定の精度を求めるのであれば、DXA法と同等の精度が出る200万円の業務用体組成計が置いてある大手ジムで計測するのが一番良い。
体重計・体組成計の選び方2 一番いい体重計・体組成計を見てMAXを知る

家庭用では、2つの周波数を利用して測定をしている、タニタのインナースキャンデュアルが頭一つ抜けていると思われる。ちなみに上記の一番高い体組成計は6つの周波数を用いて測定している。

現実的には、特に特定のメーカーに対するこだわりがなければ、市場シェアの9割近くを占めるタニタかオムロンの中から選ぶのが無難であろう。

家庭用体組成計のラインナップの推移から考察をするに、よほどのこだわりの理由がない限りは両手両足測定機種ではなく、両足測定機種のものを選んでおいたほうが無難といえる。なぜなら、タニタとの差別化ポイントとして、両手両足測定機種を高級機種の主力として売り出していたオムロンですら、2010年以降新機種を出していないので、両手両足測定機種は、毎日使うには面倒で人気がなかったのだと想定できるからである。

現在の高級機種のトレンドとしては、Withingsという海外メーカーが市場を切り拓いたスマホ連携機能である。これは体組成計の測定データを自動で無線通信でスマホに送るというものである。ただし、Withingsに関しては測定精度が著しく低いことが想定されるので、スマートフォンデータ連携機能で選ぶのであれば、タニタかオムロンの高級機種の中から選択することをおすすめする。